A「先生、今日は麻痺が強く感じるんだ。足の痺れもひどいし、歩けそうにないよ。」
B新人療法士「(麻痺は)昨日と同じレベルですよ。」
A「そんなことないってば。昨日より動きづらいんだよ。」
B新人療法士「昨日と変わってませんよ。一緒に歩きましょう。」
A「無理だって言ってるだろう!」
このやり取り、なんかギクシャクしてますね。
どちらが正しいと思いますか?
実は、両者に正解も不正解もありません。 それぞれの立場や経験から見えるものが違うだけなんです。
Aさんは、初めて体験する麻痺に戸惑っています。
B新人療法士さんは、国家資格に準じ麻痺の分類に基づいて判断しています。
Aさんの家族はB療法士さんを信頼したいけど、Aさんを信じたいという葛藤があります。
自ら動かせる動きを「随意運動」と呼び、気持ちとは裏腹に動くことを「不随意運動」と呼びます。 実は、ふたつの運動の違いが異なる答えを生み出しているのです。 「随意運動」と「不随意運動」は体調や環境によって変化します。 「不随意運動」は、暑い日や寒い日、天気、あくびの直後、うんちを我慢してる時、怖さ、肉体的頑張り、喜怒哀楽などに影響するのです。 それが麻痺に関する解釈の違いを生んでいます。
脳卒中の運動麻痺は、回復過程によってブルンストロームステージという6段階に分類できます。運動機能の回復は、発症から6ヶ月でほとんど終わりますが、高次脳機能障害の回復は2〜5年、あるいは10年かけてゆっくりと回復します。麻痺が治るかどうかは、ここが一つの分岐点になります。
発症後6ヶ月経つともう治らないのか? 答えはNOです。 まだ先があるんです。 「機能回復」に加え「能力回復」が存在します。 機能回復は「動く」かどうか、能力回復は「できる」かどうかを指します。 この先は次の章で解説します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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