夏の脱水と片麻痺 〜汗のかき方が左右で違う体で夏を乗り切るために〜
- 7月7日
- 読了時間: 5分
更新日:19 時間前
朝からじりじりと気温が上がり、じっとしているだけでも汗がにじむ季節になりました。
健康な頃は、暑ければ汗をかき、水を飲めばそれで済んでいたことが、脳卒中を経験されたお体では、そう単純にはいかないことがあります。
麻痺のある側と動く側で、汗のかき方がなんだか違う。
片方だけやけに汗ばむ、あるいは反対に、麻痺側はほとんど汗をかかない。
そんな左右差に、ご本人やご家族が気づかれることは少なくありません。
実はそこに、夏の片麻痺のお体が抱える大切なテーマが隠れています。
なぜ片麻痺だと汗のかき方に左右差が出るのか
私たちの体は、暑さを感じると自律神経が働いて汗を出し、その汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げています。
この汗をかく指令や体温調節も、実は脳からの信号によってコントロールされています。
脳卒中によってその信号の通り道が傷つくと、麻痺のある側では汗の量が減ったり、逆に増えたりと、体温調節がうまく働かなくなることがあります。
つまり麻痺側は熱をうまく逃がせず、体に熱がこもりやすい状態になりがちなのです。
これは気合や慣れでどうにかなるものではなく、体温調節という体の仕組みそのものが変化しているために起こります。
見えにくい脱水が、再発のリスクにつながる
体温をうまく下げられないと、体はさらに水分を使って熱を逃がそうとし、気づかないうちに脱水が進みます。
体の水分が減ると血液が濃くドロドロになり、血管の中で固まりやすくなります。
これは脳梗塞の再発リスクを高める、夏に見過ごせない要因です。
しかも脱水や熱中症は、体の動きそのものも鈍らせます。
脳卒中を経験された方では、それがそのまま移動する力の低下や、やる気の低下につながり、立つ、歩く、身の回りのことをするといった日々の動作全体が下がっていく悪循環になりがちです。
夏の水分不足は、のどの渇きだけの問題ではないのです。

年齢を重ねると、のどの渇きも暑さも感じにくくなる
ここで、もう一つの大切な落とし穴があります。
年齢を重ねると、のどの渇きを感じる力が弱まり、暑さや寒さに対する感覚も鈍くなっていきます。
体は水分が足りていないのに、のどは渇かない。
部屋の中がかなり暑くなっているのに、本人はむしろ肌寒く感じるくらい。
そんなことが実際に起こります。
近年、真夏に熱中症で亡くなる痛ましい事故が続いていますが、その多くに共通していたのが、外は30度を超えているのに窓を閉め切り、エアコンをつけていなかったという状況などでした。
だらしなかったのではありません。
ご本人には、その暑さが感じられていなかったのです。
加齢で少しずつ変わっていくお体の変化は、自分ではなかなか気づけません。
片麻痺で感覚が鈍くなっていれば、なおのことです。
水は薬です。飲んだ量を目に見えるようにする
私たちがリハビリの現場でまず必ずお伝えするのが、水分をこまめに摂ることです。
ところが、ちゃんと飲んでいますとおっしゃる方ほど、実際にはとても少ないことがよくあります。
のどが渇かないので、飲んだつもりになっているだけなのです。
そこでおすすめしているのが、透明な水筒に1リットルの水を用意して、1日でどれだけ減ったかを目に見えるようにする方法です。
残りの量が一目でわかると、あとどれくらい飲めばいいかがはっきりして、自然と手が伸びます。
水は、体を守ってくれる薬のようなものです。
渇いてから飲むのではなく、時間を決めて先回りで口に運んでください。
汗を多くかいた日は、水やお茶に加えて経口補水液で塩分も一緒に補うと安心です。
ただし血圧の管理で塩分を控えるよう言われている方は、かかりつけの先生に適量を確認してください。

エアコンは我慢しない。家族の一声が命綱になる
麻痺のある側は感覚も鈍くなっていることがあり、日差しやこもった熱の暑さに気づきにくくなります。
さらに高齢になると寒さを感じやすくなるため、エアコンをつける、つけないで家族の意見が食い違うこともあります。
けれど、その言い合いができること自体は、実はとても幸せなことです。
水分や部屋の温度を気にかけて、そばで見てくれる人がいるということだからです。
頭ごなしにならず、どうして冷やしたほうがよいのかという理由を優しく伝え、お互いが心地よいと思える着地点を一緒に見つけてください。
心配なのは、一人で暮らしている方です。
暑さに気づけないまま、誰にも声をかけられずに過ごしてしまいがちだからです。
だからこそ、訪問のサービスやご近所、地域の見守りといった、気にかけてくれる目を一つでも多く増やしておくことが、夏の安心につながります。

ご家族へ:見てわかる脱水のサイン
ご家族の方が気づいてあげられるサインもあります。
唇や口の中が乾いている、おしっこの色が濃く量が減っている、脇の下が乾いている、なんだかぼんやりして反応が鈍い。
こうした様子が見えたら、脱水が進んでいるのかもしれません。
声をかけて、一口でも水分をすすめてあげてください。
その一言、その一杯が、夏の再発から大切なご家族を守ることにつながります。
専門職として
私たち専門職は、こうした体温調節や自律神経の変化を前提に、その方のお体に合った夏の過ごし方をお伝えしています。
どのくらいの水分をどんなタイミングで摂ればよいか。
暑さとどのように付き合えばよいか。
ご自宅の環境に合わせて、一緒に考えていきます。
汗のかき方が変わったお体で迎える、はじめての、あるいは何度目かの夏。
その不安を一人で抱えず、いつでも私たちを頼ってください。
科学的な視点と、あなたに寄り添う心で、あなたらしいペースの夏をすぐそばで応援し続けます。
??無料 脳卒中リハビリ相談 「NIDE脳卒中リハコンサルティング」 のご案内
https://lin.ee/P7fkLGSC
??「NIDE脳卒中歩行アカデミー」 のご案内
https://www.maruhamedical.com/visitingrehabilitation
📌書籍 『親が脳卒中になったとき 家族が最初に読む本』 のご案内 https://www.amazon.co.jp/dp/B0H7PXGBRX






コメント