【病態別】第3回:皮質下出血|見えない障害と向き合い、家族で歩む長期戦の心得
- 株式会社 MARUHA MEDICAL
- 6 時間前
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はじめに:皮質下出血とは何か

病態別にお話しする連載の第3回目は、皮質下(ひしつか)出血を取り上げます。
第1回の視床出血、第2回の被殻出血が脳の深い場所での出来事だったのに対し、皮質下出血は脳の表面に近い場所で起こる出血です。
この病態の最大の特徴は、出血する場所(前頭葉、頭頂葉など)によって現れる症状が全く異なる点です。
手足は比較的よく動く一方で、性格が変わったように見えたり、判断力が落ちたり、空間を正しく認識できず物にぶつかったりといった高次脳機能障害が前面に出やすいのが特徴です。
周囲からは一見分かりにくい生活のしにくさに、ご本人もご家族も翻弄されやすい場所でもあります。
1.動けるから大丈夫という言葉の落とし穴
皮質下出血の方は、病院の評価では自立や軽症と判断され、早期に退院となることも少なくありません。
しかし、本当の戦いは自宅に戻ってから始まります。
手足は動くのに、なぜか料理の手順を間違える。歩けるのに、左側の壁に何度も肩をぶつけてしまう。
穏やかだった人が、急に怒りっぽくなった。
こうした症状は、目に見える麻痺よりもずっと、ご家族の心に負担をかけます。
これはご本人の性格の問題ではなく、脳の情報の統括がうまくいっていないために起こる脳の特徴なのです。
2.医療制度の限界と、ベテランの目を持つ重要性

高次脳機能障害は、回復に2年から5年、時には10年という長い歳月を要します。
しかし、今の日本の医療制度(回復期リハビリテーション)の入院期間では、その長い回復プロセスのほんの入り口で退院を迎えなければならないのが現実です。
在宅に帰るとリハビリの頻度は減り、さらに高次脳機能という目に見えにくい障害を正確に評価できる療法士は、残念ながら決して多くありません。
身の回りのことは自分でできるから、あとは自分で行ってください。
もし、そうした安易な判断を下す能力の低い担当者に当たってしまうと、本来伸びるはずだった能力を育てるチャンスを逃してしまいかねません。
在宅生活においてこそ、目に見えない障害を評価し、分かりやすく家族に伝えられる、長期的な回復のプロセスを熟知しているベテランの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を見つけ出すことが大切です。
まずはケアマネジャーと相談し、地域で実績のある担当者を探してみてください。
3.ご家族へ:4割の力で、細く長く歩むということ
高次脳機能障害のリハビリは、マラソンよりも長い長期戦です。
ご家族が献身的に関わることは素晴らしいことですが、最初から全力で向き合ってしまうと、数年続く道のりの途中で、心身ともに疲れ果ててしまいます。
私からお伝えしたいのは、頑張りすぎず、4割くらいの力で関わるという意識です。
ご家族だけで抱え込まず、可能な限り外部のサービスを利用してください。
社会との関わりを持つこと自体が、ご本人にとって大きな刺激となり、回復のきっかけになります。
その間に、ご家族は自分の時間を持ち、心を休めてください。
あなたが倒れないことが、ご本人にとって最大の支えになります。
4.現場の一次情報:社会との接点が脳を呼び起こす

私が現場で見てきた多くの事例でも、リハビリ室での訓練以上に、社会の荒波に触れることで、注意の配り方や判断力が劇的に改善した方が多くいらっしゃいます。
屋外で車や自転車に注意を払うこと、お店で買い物をしてお釣りを受け取ること。
こうした本番の生活に挑戦できる環境を作ってあげることも、立派なリハビリテーションです。
それをサポートできる経験豊かな療法士と組むことで、生活範囲は少しずつ、でも確実に広がっていきます。
おわりに:期待と不安を分かち合いながら
皮質下出血による変化は、家族であっても理解し合えず、孤独を感じることがあるかもしれません。
期待しすぎて焦る必要もありませんが、今の状態で全てが決まったわけでもありません。
数年単位の長い目で見た時、脳は私たちが驚くような適応を見せてくれることがあります。
身体の機能が変わらなくても、工夫と環境の調整、そして適切な社会との関わりで、生活の質は変えていけます。
私たちは、医学的な知識と現場の経験を持って、あなたが自分らしい生活を取り戻す道のりを支え続けます。
執筆者

理学療法士/脳卒中リハビリアドバイザー
二出川 龍
延べ3,5万件を超えるリハビリ実績。寝たきり・車椅子の方1,000人以上を再び歩ける状態へ。初台リハビリテーション病院では長嶋茂雄氏の脳梗塞リハビリに携わり「右手ポケットスタイル」を考案。/2000年〜理学療法士、2008年〜脳卒中専門リハ事業を運営。
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