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「履ける靴」ではなく、「履きたい靴」を。装具ユーザーを悩ませる「靴難民」からの脱出法
はじめに:装具が完成した日、ふと感じる「戸惑い」 「お待たせしました。あなた専用の装具が出来上がりましたよ」 数週間の調整を経て、ようやく手元に届いたプラスチック製の装具。 「これで、もっと安定して歩けるようになる」 「リハビリが前に進む」 そんな希望に胸を膨らませて足を通した、その直後。 ふと、ある現実に直面し、立ち尽くしてしまう方がいらっしゃいます。 「あれ? 私の靴、入らない…」 今まで履いていたお気に入りのスニーカーも、仕事用の革靴も、ちょっとそこまで行くためのサンダルも。 玄関に並んでいる全ての靴が、装具を着けた足には全く入らなくなってしまうのです。 病院の売店に行くと、勧められるのは機能性を最優先した靴たち。 マジックテープが大きく開き、とても履きやすい、素晴らしい靴です。 でも、それを手にした時、心のどこかで「これを履いて、友人に会いにいけるだろうか」「スーツにこの靴を合わせて、会社に行けるだろうか」と、少しだけ躊躇してしまう自分がいる。 「歩くためには仕方がない」 そう自分に言い聞かせて、おしゃれを諦め、靴箱の奥にお気に入りの靴を
2 日前


「免許は返ってくる」ものではない。「勝ち取る」ものだ。脳卒中後の運転再開、その険しい道のりと、2人の男たちの挑戦
ハンドルを握ることは、生きること 「もう一度、車の運転がしたい」 リハビリでこの言葉を聞くとき、私はいつも、その言葉の裏にある、切実な想いを感じ取ります。 それは単に「スーパーに行きたい」「病院に行きたい」という移動手段の話をしているのではありません。 特に、昭和の時代を駆け抜けてきた60代、70代の男性にとって、運転免許証とは、ただの資格ではありません。 それは社会人として一人前であるという「ステータス」であり、休日には家族をいろんな場所へ連れて行った「思い出の証」であり、そして何より、誰の力も借りずに自分の意志でどこへでも行けるという「自由と尊厳」そのものです。 脳卒中によって、ある日突然、その翼をもがれてしまった喪失感。 ちょっとした用事でも「家族に送迎を頼まなければならない」という情けなさ。 移動できないことで、社会との接点が断たれ、家庭内での父親や夫としての役割すら失ってしまったように感じる虚無感。 その痛みは、健康な人には想像もつかないほど深く、当事者の心を蝕みます。 しかし、現実は厳しいものです。 「退院して体が動くようになれば、す
4 日前


「もうこれ以上は良くなりません」と言われても。医学的な「6ヶ月の壁」の正体と、その先にある「筋肉の可能性」
「6ヶ月」という数字に、縛られていませんか? 「発症から半年が過ぎましたね。これ以上の回復は難しいので、これからは今の機能を維持していきましょう」 医師やセラピストから、そんな言葉を投げかけられ、目の前が真っ暗になった経験はありませんか。 あるいは、ご自身でネットを検索し、「脳卒中の回復は6ヶ月でプラトー(停滞期)を迎える」という情報を見て、絶望しているかもしれません。 「私の人生、もうこれ以上良くならないのか…」 もし、あなたがそう思っているなら、私は専門家として断言します。 その絶望は、半分は医学的に正解ですが、あとの半分は、大きな誤解が含まれています。 医学的なデータとしての「6ヶ月の壁」は存在します。 しかし、それはあくまで「ある側面」の話に過ぎません。 あなたの体には、まだ手つかずのまま眠っている「伸びしろ」が、確実に残されています。 今日は、多くの人が誤解している「6ヶ月の壁」の本当の意味と、それを乗り越えるための「赤身と白身の筋肉の話」、そして、重度の方から軽度の方まで、それぞれのステージでどう希望を見出していくかについて、じっくり
11月20日


「ごめんね」と「ありがとう」の間で、脳卒中後の家族との「新しい関係」の築き方
その「ごめんね」、いつから聞くのが辛くなりましたか? 「ごめんね、また失敗しちゃった」 「ごめんね、いつも迷惑ばかりかけて」 ご本人が、ふと口にする「ごめんね」という言葉。 「そんなことないよ、気にしないで」 「大丈夫だよ」 そう返すあなたの心は、本当に「大丈夫」でしょうか。 最初は優しく受け止められていたその言葉が、いつからか、聞くたびにあなたの心を重くし、イライラさせ、疲弊させてはいないでしょうか。 あるいは、ご本人も。 本当は「ありがとう」と言いたいのに、申し訳なさが先に立ち、「ごめんね」という言葉ばかりが口をついて出てしまう。 そして、その言葉が、ご家族の表情を曇らせていくことに気づき、さらにご自身を責めてしまう。 脳卒中という大きな出来事を境に、それまで当たり前だった夫婦や親子の関係が、「患者」と「介護者」という、重苦しい役割に変わってしまった。 この記事は、そんな「ごめんね」と「ありがとう」の狭間で、出口が見えずに苦しんでいる、ご本人と、そして何より、一人で支えようと頑張りすぎているご家族、あなたのためだけに書きました。...
11月18日


目に見えない後遺症と、どう付き合うか? ~「怒りっぽくなった」「忘れっぽい」は、性格ではなく後遺症です~
その「生きづらさ」、誰にも理解されないと思っていませんか? 脳卒中のリハビリと聞くと、多くの人が「麻痺した手足を、もう一度動かすための訓練」を想像します。 しかし、退院後の生活が始まった時、ご本人と、そばで支えるご家族を、手足の麻痺以上に深く、そして静かに苦しめるものがあります。 それが、「目に見えない後遺症」です。 「最近、なんだか怒りっぽくなった」 「大事な約束を、すっぽかしてしまう」 「あんなに得意だった料理の段取りが、全くできなくなった」 「人の話が、頭に入ってこない」 ご家族は、「リハビリを怠けている」「病気を言い訳にしている」「性格が変わってしまった」と、ご本人を誤解し、どう接していいか分からず戸惑ってしまいます。 そして、なにより辛いのは、ご本人です。 「頑張ろうと思っているのに、なぜか体が動かない」 「自分がおかしくなってしまったんじゃないか」 「家族に迷惑ばかりかけている」 と、誰にも理解されない孤独の中で、ご自身を責め続けています。 もし、あなたの家庭が今、そんな「見えない壁」によって、お互いを理解できなくなり、ギスギスした空
11月9日


「ただいま」の次に目指す、「いってきます」。〜脳卒中後の「復職」という高い壁を越えるために〜
あなたの「いってきます」を諦めないために 「退院おめでとうございます。ご自宅での生活は送れるようになりましたね。」 リハビリ病院でそう言われ、自宅の玄関をまたいだ時、あなたは「ただいま」という言葉と共に、どれほどの安堵を感じたことでしょう。 そして、それを支えてこられたご家族も、どれほど肩の荷が下りたことか、想像に難くありません。 しかし、その安堵も束の間。ご自宅での生活に少しずつ慣れてきた頃、あなたの心には、病院にいた時とは比べ物にならないほど大きく、重たい不安が、再び湧き上がってきてはいないでしょうか。 それは、自分はもう一度「いってきます」とあの玄関のドアを開けられる日が来るのだろうか?という不安です。 「脳卒中は高齢者の病気」というのは、もはや遠い昔のイメージです。 今は、40代、50代という「働き盛り」の最中で、一家の大黒柱として、あるいはキャリアの最前線で活躍していた方々が、突然この病に倒れるケースが、本当に増えています。 彼らにとって、退院は決してゴールではありません。特にあなたの職業人生が、この先まだ20年、30年と残っているのな
10月31日


その装具、最高の「歩行パートナー」になっていますか? 理学療法士が常に足元にいるのと同じ、装具の本当の力
あなたの「相棒」は、その力を発揮していますか? 「退院おめでとうございます。病院で使っていたこの装具で、ご自宅でも歩く練習を続けましょう」 病院でそう言われ、あなたの足に装着された、プラスチックや金属でできた「装具」。 病院でのリハビリの日々、それを着けて一歩一歩、歩く練習を懸命に続けてこられたのだと思います。 しかし、ご自宅での生活が始まった今。 その装具と、どのような関係を築いていらっしゃるでしょうか。 心の奥底では、こんなふうに感じてはいませんか? 「こんなもの、一時的なものだと思っていたのに…」 「いつになったら外せるんだろう。100%の人、みんなが本当は外したいと思っているはずだ」 「実際、こっそり外して生活している。でも、そのせいで最近、前より歩きにくくなってきた気がする…」 そうなんです。 在宅の現場を見ていると、装具を着けなくなった結果、かえって歩けなくなった方、悪い歩き方の癖がついて相談に来た方を私は本当にたくさん見てきました。 そして、もちろん、こんな現実的な悩みもあるでしょう。 「歩くと、決まってくるぶしやスネの同じ場所が赤
10月28日


「もう、疲れた…」脳卒中リハビリのやる気が出ない日に、そっと寄り添う心の処方箋
はじめに:心が動かない、そんな日のあなたへ リハビリは、長い道のりです。 退院した直後は「これから頑張るぞ」と意気込んでいたけれど、毎日同じことの繰り返しのようで、目に見える変化も少なくなってきた。 そんな時、ふっと心が動かなくなる瞬間が訪れます。...
10月12日


片麻痺の本当の勝負は退院してから。~病院では教えてくれない「3つの壁」と、その乗り越え方~
はじめに:「おかえりなさい」の喜びと、その後に訪れる静かな現実 「退院おめでとうございます!」 多くの人に温かく送り出され、久しぶりに我が家のドアを開けた時の安堵感。 ご本人にとっても、ご家族にとっても、それは本当に嬉しい瞬間だったことと思います。...
10月12日


穏やかな毎日を、もう一度。脳卒中経験者とご家族で取り組む「再発予防」暮らしのヒント集
はじめに:焦らず、あなたのペースで歩む、これからの物語 あの日から、ご本人もご家族も、本当に大変な日々を乗り越えてこられたことと思います。 退院し、少しずつ日常を取り戻す中で、ふと「これからどうなるのだろう」という、静かな不安を感じる瞬間があるかもしれません。...
10月12日


脳卒中による片麻痺リハビリ|回復の流れと効果的なトレーニング方法
脳卒中は日本人の主要な疾患のひとつであり、発症後に片麻痺などの後遺症が残るケースは少なくありません。 特に片麻痺は歩行や食事、着替えといった日常生活に大きな影響を与えるため、適切なリハビリを行うことが回復のカギとなります。 この記事では「片麻痺...
9月12日


脳卒中後の人生を新たな生き方へと変える3つの心
「脳卒中」—その言葉を聞いたとき、多くの人がまず思い浮かべるのは、体の麻痺や言語障害といった、目に見える症状かもしれません。 しかし、脳卒中がその人を本当に苦しめるのは、体の不自由だけではありません。人生を大きく変えてしまうほどの深い傷を、心に残すことがあります。...
9月12日


「ただ歩くだけ」はもう卒業! 脳卒中リハビリを「生きがい」に変える魔法とは?
リハビリって、正直つらくないですか? 毎日、同じような訓練の繰り返し。 「いつまで続ければいいのだろう…」 「家の中は歩けるようになったけど、この先はどうすればいいのだろう…」 そんなふうに感じて、リハビリへのモチベーションが下がってしまう方も少なくありません。...
9月12日


脳卒中の後遺症で頑張りすぎない介護 ― 家族のメンタルを守る工夫
脳卒中の後遺症を持つ方を在宅で介護していると、多くのご家族がこう思います。 「もっと助けてあげなきゃ」「私が頑張れば、この人はよくなるかもしれない」 その思い自体はとても尊いものです。しかし介護は1日や2日で終わるものではなく、何ヶ月、何年と続く長期戦です。...
9月3日


脳卒中による片麻痺は治る?回復の可能性とリハビリの進め方を解説
脳卒中は、日本人の介護が必要になる原因の上位に挙げられる病気で、その後遺症として多くの方が片麻痺を経験します。 「片麻痺は治るのか?」という疑問は、患者さん本人だけでなくご家族にとっても切実なテーマです。 実際の回復の可能性は、発症後の経過やリハビリの取り組み方によって大き...
8月19日


脳卒中、退院してからが本番。在宅リハビリで本当に大切なこと
脳卒中のリハビリというと、入院中の回復期リハビリを思い浮かべる方が多いと思います。 入院中は毎日リハビリがあり、目に見えて回復を実感できる時期でもあります。 そして、退院して在宅生活に戻ってからが、本当の意味でのリハビリの本番と言えます。...
8月9日


脳卒中後、歩けるようになるまでどれくらい?
歩行再獲得の目安とリハビリの考え方 脳卒中を患ってから、また歩けるようになるにはどれくらいかかるのか。 これは多くの患者さんやご家族が不安に思うテーマの一つです。 実際には、すぐに歩けるようになる人もいれば、何ヶ月もかかってやっと一歩が出る人もいます。...
7月31日


「装具」は「薬」? 歩行を処方するという考え方
装具って「かっこ悪い」もの? 「目立つのがイヤで外に出たくない」「装具っていかにも障害者みたいにだから」 これは、私がリハビリの現場で実際に聞いたことのある言葉です。 リハビリ用の装具というと、多くの方がまず見た目に抵抗を感じます。...
7月22日


脳卒中で麻痺のある方の移乗を安全・スムーズに行う方法|介助のコツと注意点を解説
脳卒中の後遺症として多く見られる「片麻痺」は、日常生活に大きな影響を及ぼします。 なかでもベッドから車椅子、車椅子からトイレや椅子への「移乗」は、本人にとっても介助する側にとっても負担の大きい動作です。 「どちら側からサポートすればいいの?」「力の入れ方は?」「声のかけ方は...
7月22日


産後脳卒中リハビリと育児の両立
産後まもない時期に脳卒中を発症する――これは誰にでも起こり得る深刻な事態です。 妊娠・出産に伴う体の変化やホルモンバランスの乱れ、さらには妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や脳動静脈奇形など、産後の女性が脳卒中を発症するリスクは決して低くありません。...
7月4日
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