「もっと動かないと」の言葉に隠れた愛情と、時間をかけて育つ新しい体
- 19 分前
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励ましの言葉が、時に少しだけ重くなる理由
穏やかな午後のひとときや、夕食を囲む団らんの時間。何気なくかけられた「もっと動かないと」「リハビリ頑張らないとね」という言葉やそんな雰囲気に、ふと会話が止まることはありませんか。
言葉を受け取るご本人は、周囲に悪気がないことを誰よりもよく分かっておられます。
心配し、一日も早く良くなってほしいという純粋な願いから出た言葉であることも、痛いほど伝わっているはずです。
それでも、その言葉が今の自分には少しだけ重すぎて、まっすぐに受け止めきれない日があるのもまた、ごく自然な感情です。
一方で、一番近くで見守るパートナーやご家族にとっても、大切な人がもどかしそうにしている姿を見るのは胸が痛むものです。
何かできることはないか。
その強い愛情と祈りが、時に「もっと動かないと」という励ましの言葉に形を変えて表れます。
誰も悪くないからこそ、お互いに少しだけ息苦しくなる時があるのです。
これは、多くのご家庭で直面する大切な通過点でもあります。
脳卒中後の体は、1年目・2年目・3年目でこう変わる

もし、ご家族がこの記事を一緒に読んでおられるなら、どうか知っていただきたいことがあります。
体の半分が思うように動かない状態というのは、私たちが想像する以上に、あらゆる動作に普段の倍以上の時間がかかります。
発症してからの1年目は、新しく変化した体と生活に「慣れる」だけで精一杯です。
できることはまだ少なく、心身のエネルギーを使い切るほどの日々が続きます。
そこから2年目に入り、日々の繰り返しの中で少しずつ新しい体のリズムに慣れてきます。
そして3年目を迎える頃に、ようやく動きやすさを実感できるようになり、3年経って晴れて「自分の体のベテラン選手」になれるのです。
見えにくい「高次脳機能障害」が、回復をさらにゆっくりにする
さらに、目には見えにくい「高次脳機能障害」が重なっている場合もあります。
頭の中で段取りを考えたり、言葉を理解したりする思考の進み具合がゆっくりになり、手順を誤ることもあります。
そのため、実際の体の動作は一時的に停止することや、さらにゆっくりとしたペースになります。
こうした見えない部分の回復には、さらに2年から5年という長い年月をかけて向き合っていくことになります。
最初の1年、2年、3年目は、なかなか思うように進まず、行き詰まりを感じ、思い悩む場面も数多くあるはずです。
ここまで来るには、決して急ぐことはできません。
毎日の地道な練習が必要です。だからこそ、ご家族やパートナーの方には、どうか数年単位の「大きな目」で、辛抱強くその歩みを見守っていただきたいのです。
もし、この過程で「もっと速く」「もっと動いて」という焦りや強いストレスがご本人にかかると、目に見えて意欲が低下したり、疲れやすくなったりというサインが現れることがあります。
しかし、ご本人は心配をかけまいと気丈に振る舞うため、ご家族であってもその表情からSOSのサインには気づきにくいものです。
焦りとストレスが、回復のブレーキになるとき

そして、一番近くで辛抱強く支えるご家族もまた、疲れやストレスが溜まるのは当然のことです。
時には愚痴を言いたくなる日もあるはずです。
そんな時は、ご本人に直接ぶつけるのではなく、私たち専門職を「ガス抜き」の場所として頼ってください。
私たちは、ご本人とご家族の歩みを客観的に、そして深く見つめています。
ご家族の心の中にあるモヤモヤをじっくりと傾聴し、負担を軽くするお手伝いをいたします。
必要であれば、今の状況に合わせたアドバイスをお伝えすることもできます。
ご家族の心の負担が減り、笑顔の余白を持てることが、ご本人の安心感に直結していくのです。
温度差を埋めようとしないことが、次の一歩への準備運動になる
ご家族との間に温度差を感じたときは、お互いに無理にその差を埋めようと焦らなくて大丈夫です。
まずは一緒に、ゆっくりと深呼吸をしてみませんか。
息を長く吐き出すことで、肩の力が抜け、心に余白が生まれます。
その余白こそが、次の新しい一歩を踏み出すための、最も大切な準備運動です。
焦らず、急がず、昨日よりもほんの少しリラックスできた指先や、ほんの少し軽く出た足の感覚を、一緒に喜び合う。
そんな穏やかな日々の積み重ねが、やがて確かな歩みとなって実を結びます。
私たちはいつでもすぐそばで、その道のりを応援しています。
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