【病態別】第5回:放射冠・内包(ほうしゃかん・ないほう) 脳のダメージは小さいのになぜ動かない?情報の高速道路の正体
- 株式会社 MARUHA MEDICAL
- 1 時間前
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はじめに:最も納得がいかないと言われる場所

病態別にお話しする連載の第5回目は、放射冠や内包について取り上げます。
病院で、出血した範囲はごくわずかですよ、と説明を受けたのに、実際には手足が全く動かない。
そんな経験をされている方は多いのではないでしょうか。
その原因の多くは、ダメージを受けた場所が情報の通り道である放射冠や内包だからです。
放射冠・内包とは何か:神経の関所
脳の表面(大脳皮質)で作られた、動け!という命令は、一本の束にギュッと集まって首の方へ降りていきます。
・放射冠:脳の表面から神経が集まってくる扇の要のような場所
・内包:その神経がさらに一箇所に固まって通るトンネルのような場所
これまでの視床や被殻が、情報の処理や調整を行う司令塔や工場だとしたら、放射冠や内包はそこから伸びる電線や情報の高速道路です。
なぜここは麻痺が重くなりやすいのか

工場が少し壊れても他のラインで代用できますが、電線は一箇所でも断線すれば、その先にある手足は一切点灯しません。
内包、特に後脚と呼ばれる場所は、全身の運動神経が驚くほど狭い範囲に密集して通っています。
そのため、たとえ数ミリの小さな損傷であっても、手足全体の動きを完全に止めてしまう破壊力を持っているのです。
単なる筋トレではなく随意性を高めてフォームを取り戻す
こうした重篤な麻痺に直面したとき、世間一般では筋肉を鍛えるイメージで語られがちですが、脳卒中のリハビリにおいては、いわゆる筋トレとは考え方が異なります。
筋肉そのものの問題ではなく、脳の命令をいかに手足に届けるかという随意性向上練習(ずいいせいこうじょうれんしゅう)が本質だからです。
大切なのは、筋肉を単体で動かそうとするのではなく、基本的な人間の体の動きを三次元で捉え直し、正しいフォームを脳に再学習させていく作業です。
歩く動作一つとっても、横から見て股関節や膝が正しく曲がっているか、前後から見て足が内や外に逃げていないか、上から見てねじれが出ていないか。
このフォームを取り戻す丁寧なプロセスこそが、脳の可塑性(かそせい)を促し、新しい神経の回路を繋ぎ直すことに繋がります。
制度の壁と可塑性のジレンマ
しかし、ここで現実的な問題に直面します。
回復期リハビリ病院の入院期間には限りがあります。
保険の制度上、病院側は日常生活動作(ADL)を上げなければならないため、可塑性をじっくり促す練習だけに時間を割くわけにはいきません。
動かないなら装具を使い、手すりに捕まってでも、なんとか生活できる形を優先します。
その結果、脳の可塑性を最も促すべき大事な時期を、十分に使い切れないまま退院を迎えるケースも少なくありません。これは日本の保険制度という仕組み上の大きな課題です。
今後の人生をどう輝かせるか、本人の価値判断

退院後、介護保険に切り替わっても、やはり中心は生活の維持になりがちです。
ここで、大きな選択を迫られることになります。
・自費リハビリなどを活用し、あくまで本来のフォームを取り戻す練習に注力するのか。
・今の状態を受け入れた上で、できることを増やし、社会復帰を目指すのか。
放射冠や内包を傷めた方は、思考や判断力はしっかりしているため、この現実を受け入れることは非常に困難で、葛藤も大きいでしょう。
しかし、今の自分の状態をどう捉え、今後の人生をどう輝かせていけるか。
その価値判断を尊重し、寄り添いながらサポートしていくことが、私たちプロの本当の役割だと思っています。
おわりに:道は一本ではありません
放射冠や内包を傷めた方は、回復の実感が得にくく、孤独な戦いになりがちです。
しかし、正面突破が難しいなら、横道を探しましょう。
私たちはその新しい地図を一緒に描き、あなたが再び自分らしく暮らしていける日を、制度の枠を超えて支え続けます。
執筆者

理学療法士/脳卒中リハビリアドバイザー
二出川 龍
延べ3,5万件を超えるリハビリ実績。寝たきり・車椅子の方1,000人以上を再び歩ける状態へ。初台リハビリテーション病院では長嶋茂雄氏の脳梗塞リハビリに携わり「右手ポケットスタイル」を考案。/2000年〜理学療法士、2008年〜脳卒中専門リハ事業を運営。
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