スーパーで突然足が止まるのはなぜ?脳卒中後の買い物で起きていること
- 5月8日
- 読了時間: 4分

家では歩けるのに、スーパーに入った途端に足がすくむ
スーパーのお買い物で足が止まるとき。あふれる情報から心と体を守る歩き方
少しずつ外を歩くことにも慣れてきた頃、ご家族と一緒に、あるいはお一人で、スーパーマーケットへお買い物に出かける機会があるかもしれません。
家の周りはスムーズに歩けるのに、スーパーの入り口をくぐった途端、急に足が前に出なくなる。
行き交う人を避けようとすると、体が硬直して足がすくむ感覚を覚える。そんな戸惑いを感じたことはありませんか。
「せっかくここまで歩けたのに、どうして」と、ご自身を責める必要は全くありません。
スーパーは「情報の海」、脳が処理しきれなくなる理由
買い物中に足が止まるのには、ちゃんとした理由があります。
それは、スーパーという空間が、脳にとって「情報の海」であるからです。
明るい照明、あちこちから聞こえる音楽やアナウンス。すれ違うショッピングカートや人々の動き。
そして、棚にびっしりと並んだ色とりどりの商品たち。
私たち人間は、一日に無意識のうちに約3万5000回もの判断を繰り返していると言われています。
スーパーという情報の渦の中で、脳卒中後の脳が処理しきれないことがあります。
脳卒中を経験した後の体は、バランスをとったり、足を一歩前に出したりする「動くこと」自体に、すでにたくさんのエネルギーと集中力を注いでいます。
そこへ、膨大な視覚や聴覚の情報が一度に流れ込んでくると、頭の中で情報の処理が追いつかなくなり、情報処理の「渋滞」が起きます。
足が止まるのは、体が安全を守ろうとしているサイン

その結果として、脳が「今はこれ以上進むのは危険だ」と判断し、足がすくんだり突っ張りが出て歩けなくなるのです。
お買い物の途中で足が前に出なくなるのは、決して体力が落ちたからでも、気持ちが弱いからでもありません。
ご自身の体が、安全を守ろうとして懸命に働いている証拠です。
ですから、まずは「いきなり自分の足で歩いて買い物をこなそう」と無理に頑張らなくても大丈夫です。
最初は、お店にある貸し出し用の車椅子に乗って、店内を移動してみませんか。
歩くのとは少し目線が変わりますが、たくさんの人が行き交う様子や、商品が並ぶ景色を眺め、「いろいろな情報がある環境」を脳にもう一度ゆっくりと思い出してもらう。
それがとても大切な最初のステップになります。
車椅子での移動に慣れ、場所の雰囲気による疲れが少なくなってきたら、いよいよ自分の足で歩く段階へと進みます。
ショッピングカートを「歩行補助具」として使う
この時、杖を使うのも良いですが、特におすすめしたいのが「ショッピングカート」につかまって歩く方法です。
カートは意外なほど安定感があり、つかまることで転倒を防ぐ強い味方になります。
カートの重みと車輪の動きが適度な抵抗となり、自然とゆっくりとしたペースで安全に歩くことができるのも良い点です。
また、もし他のお客さんが急に近づいてきても、カートがクッションの役割を果たしてくれるため、体への急な衝撃を防ぐことができます。
もちろん、軽いものを1つ2つ買うだけなら、麻痺のある方の手でカゴを持つ練習をするのも素晴らしいことです。
ただ、「お買い物」そのものを楽しむ目的であれば、無理に難しい動作をこなす必要はありません。
カートを頼りにして、安全にお買い物を楽しむことを優先してみてください。カートがあれば、荷物が増えても安心です。
買い物は「リハビリ」であり「社会参加」でもある

外の空気を吸い、人とすれ違い、社会と繋がること。
そうした外からの刺激一つひとつが、これからの暮らしを豊かにする大切なエッセンスになります。
今日すぐにできなくても、少しずつ環境に慣れていけば大丈夫です。
社会に参加し続けるそのプロセスを、私たちはいつでもすぐそばで応援しています。
ご自身のペースで、新しい日常をじっくりと楽しんでいきましょう。
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