【病態別】第12回:橋(きょう)出血・梗塞 頭ははっきりしているのに。声なき声に寄り添い続けるご家族へ
- 3月27日
- 読了時間: 6分
更新日:1 日前
はじめに:考えや感情は、病気になる前と全く同じです

病態別にお話しする連載も、第12回を迎えました。今回は、脳の幹にあたる部分、橋(きょう)のダメージについて取り上げます。
脳卒中と聞くと、多くの方がまず第一に、半身が動かなくなる片麻痺を想像されます。
それに加えて、物事が考えられなくなるのではないか、認知症のようになるのではないかという不安を抱かれます。
確かに、脳の表面にある大脳皮質という場所が傷つくと、そういった症状が出ることがあります。
しかし、今回お話しする橋というピンポイントの部位にダメージを受けた場合、物事を考える脳の機能は一切ダメージを受けていません。
ご本人の頭の中は完全にクリアであり、感情も、思考も、病気になる前と全く同じです。
それなのに、口を動かす筋肉が麻痺してうまくしゃべれなかったり、手足の重い麻痺によって身動きがとれなかったりします。
頭ははっきりしているのに、自分の意思を外に伝える手段だけが奪われている。
これは、ご本人にとって想像を絶するもどかしさと葛藤を伴います。
だからこそ、ご家族と私たち専門職がタッグを組み、その声なき声をいかに正確にすくい上げ、生活の質を高めていくかが何よりも重要になるのです。
思い込みで進むケアが引き起こす、悲しいすれ違い
言葉をうまく発せないご本人を前にして、毎日の介護を懸命に担うご家族は、なんとか意思を汲み取ろうと必死になられます。
その際、お父さんはこういう性格だから今こう思っているはずだと、ご家族の推測で対応することがよくあります。
これは、ご家族が支援を怠けているわけではありません。
日常のあらゆる場面で、一つ一つ「はい・いいえ」を確認するのは、ご家族にとっても本当に大変な労力です。
だからこそ、日々の忙しい流れの中で、推測のままケアが進む傾向にあります。しかし、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。
頭がクリアなご本人には、その時々の明確な「今の意思」があります。
本当は嫌なのに、そうじゃないのにとご本人が心の中で思いながら、流れるようにケアを受ける日々は非常に気の毒であり、次第に生活の質や生きる意欲を大きく下げる原因になります。
自然なコミュニケーションの中で、嫌なサインをキャッチする

推測による悲しいすれ違いを防ぐためには、確実な意思疎通の土台を作ることが第一歩です。まずは「はい」か「いいえ」で答えられる質問から始めます。
とはいえ、毎回かしこまって確認する必要はありません。
普段の自然なコミュニケーションの中で、声が出せなくても「はいの時は瞬きを1回」といったかすかな動きをサインとして決めておきます。
特に大切なのは、ご本人が「嫌なとき」に見せるわずかな動作や表情のサインをキャッチすることです。時間はかかります。
しかし、この確実なやり取りをベースに据えることで、自分の意思が正しく伝わっているという深い安心感がご本人に生まれます。
この安心感のベースが整って初めて、より高度で応用的なコミュニケーションへと進むことができ、ご本人の生活の質は飛躍的に上がっていくのです。
神経質になりすぎる危険と、チームとの人間関係づくり
在宅生活において、排泄や清潔の保持など身の回りのことを整えるためには、介護保険や医療保険を使った公的なサービスが欠かせません。
しかし、訪問するヘルパーや看護師などの従事者は人が入れ替わるため、ご本人の細かなサインをすべて正確に捉え切ることは非常に困難です。
そのかすかなシグナルに気づけるのは、毎日すぐそばで暮らしを共にしているご家族だけです。ご家族がキャッチしたサインを、まずは私たち在宅支援チームに教えてください。
昨日はこんな表情で瞬きをしていましたというご家族の情報こそが、私たちが質の高いリハビリやケアを組み立てるための最強の武器になります。
ここで一つ、現場のリアルな現実をお伝えします。
ご家族がご本人を守りたいあまりに神経質になりすぎると、外部の医療職や介護職に対して「もっと細かくサインを読み取ってほしい」という要望が度を過ぎて強くなることがあります。
その結果、対応が困難と判断され、サービス事業所が撤退を余儀なくされるケースもゼロではありません。
助けてくれる人がいなくなり、ご家族が孤立の道を歩むことは、ご本人にとっても最も悲しいことです。
このバランスは言葉で表現しがたいほど難しいものです。
だからこそ、私たちリハビリの専門職が間に入り、ご家族とサービス担当者との良好な人間関係づくりをサポートします。
ご家族がキャッチしたサインを私たちがチーム全体に翻訳して伝え、共に暮らしのベースを高めていくのが私たちの役割です。
残された機能を存分に生かし、道具で補うリハビリ

橋のダメージであっても、在宅に帰ってから回復を見せるケースは決して少なくありません。
回復の兆しが見える場合、リハビリの主役は残された機能(残存機能)を存分に生かし切ることです。
麻痺があっても動かせる部分は最大限に使い、どうしても難しい機能については、さまざまな福祉用具や便利な道具を使って埋め合わせをしていきます。
自分の力と道具をうまく掛け合わせることで、できなかったことができるようになる。トイレへ行く、着替える、お風呂に入るといった日々のトータルな生活動作(ADL)を、少しずつ自分らしく取り戻していくことができます。
おわりに:あなたは、決して一人ではありません
身動きが取れず、言葉も発せないご家族を前に、何をどうしてあげればいいのかと途方に暮れる夜もあるでしょう。
伝わらないもどかしさに、お互いに涙を流す日もあるかもしれません。でも、どうかご自身を責めないでください。これは病気が引き起こしていることであり、誰のせいでもありません。
絶望の淵にいるときこそ、私たち地域の専門職を頼ってください。
公的なサービスをフル活用し、人間関係の調整や毎日の介護の重荷を私たちにも背負わせてください。
ご家族が言葉の壁や孤立の不安にぶつかるときは、私たちがしっかりと盾になります。
ゆっくりと、焦らずに。
確実なサインを一つずつ見つけ、道具を工夫していく中で、ご本人らしい暮らしの質が上がり、再び安心して笑顔を見せる瞬間が近づいてくるでしょう。
その時の喜びは、何にも代えがたいものです。
新しい家族のコミニケーションと暮らしの形を、私たちが全力でサポートしながら、一緒に、温かく見つけていきましょう。あなたは決して、一人ではありません。
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