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靴を履くだけで一苦労。安心してお出かけするための優しい準備

  • 1 分前
  • 読了時間: 5分

森の小道を手をつないで歩く高齢の男女。ベージュのベストと淡色の服を着て、緑の木々の中で笑顔で会話している。

玄関は「ただの通り道」ではない——外へ漕ぎ出す前の最大の難所

さあ、今日はお天気も良いし少し外へ出かけてみよう。


そう思って上着を羽織り、玄関へ向かう。


ご家族とお出かけの予定を立てて楽しみにしていた日もあるかもしれません。


ですが、いざ玄関の前に立ったとき、靴下を履き、靴に足を入れるというお出かけの「第一歩」が、果てしなく高い壁のように感じられることはありませんか。


外を歩く健康な人たちにとって、玄関はただの通り道です。


数秒でサッと靴を履き、何も考えずにドアを開けて外へ出ます。


しかし、脳卒中を経験した体にとって、玄関という小さな空間は、外の世界へ漕ぎ出す前の最もエネルギーを使う準備の場所なのです。


足が滑り落ちる、履けない——装具ありの靴履きが難しい理由

椅子に腰を下ろし、自分の足先に手を伸ばす。


体を前に曲げてバランスを保つという動作は、麻痺のある体にとっては非常に難易度の高い運動です。


装具をつけていない方であれば、玄関に椅子を置いて座り、長い靴べらを使えば比較的スムーズに靴を履くことができます。


しかし、膝下から足先までを支えるプラスチックや金具の大きな装具をつけている方にとって、靴を履く作業はさらに高いハードルになります。


装具をつけている足の靴は、通常よりも二回りほど大きなサイズになります。


入院中のリハビリで、足を組んで靴を履く練習をしてきた方も多いと思います。


ですが、ご自宅の玄関でいざ足を組んでみても、麻痺のある足がスルリと滑り落ちてきやすいというお悩みは本当に多く聞かれます。


麻痺のある手を「向こう脛」に当てる——足が落ちなくなる優しい工夫

屋外の建物前で、車いすの高齢男性を高齢女性が押してエレベーターへ向かう、穏やかな昼下がりの場面

そんな時、足が落ちないようにするための優しい工夫があります。


それは、麻痺のあるほうの手を「向こう脛」にそっと当ててあげることです。


もしご自身で手を動かすのが難しければ、反対の手で運んであげて、すねの上に置いてみてください。


筋肉に突っ張りがある方の場合は、その緊張をいかして足首が落ちないように支えられます。


もし力が入りにくいタイプの方であっても、腕の重みがストッパーの役割を果たし、足が落ちにくくなります。


ご自身の体を一緒に使い、麻痺のある手と仲良くする習慣としても、とてもおすすめの方法です。


足首のバンドがたった5ミリ緩むだけで、その日の歩きが変わる


そして、靴に足を入れる前に、もう一つ大切な確認があります。


それは、装具の足首のバンドがしっかりと締まっているかどうかです。


足に感覚のしびれや鈍さがある場合、無意識のうちにバンドの締め方が甘くなりがちです。


しかし、実はこの足首のバンドが最も重要です。かかとが装具の奥へしっかり入るように、まずは足首のバンドをギュッと締めます。


そのあとに、すね、そして足の甲の順番でバンドを留めていきます。


この足首のバンドがたった5ミリ緩んでいるだけで、その日の歩きやすさは全く別のものになり、つまずく原因になります。


安全に体重を乗せて歩くために、まずはこの装具の準備を丁寧に行ってみてください。


靴を履いたら歩き出す前に——「歩き出しの足踏み」がお守りになる

ベッドで肩を押さえる高齢男性。白いカーテンから光が差す静かな寝室で、青いパジャマと柄布団が見える】【。

装具の準備ができたら、いよいよ靴を履きます。


入り口が広い靴を選んでいても、外側のくるぶし付近はご自身の目からは死角になり、どうしても履きにくさを感じます。


そんな時は、靴の中敷きに対して直角になるようなイメージで、まず「小指側」から靴の中へ入れてあげてください。


小指側が入ったら、少しひねるようにして親指側を入れます。そうすると、装具のつま先がスッと靴の中へ入っていきますので、最後にかかとを奥へ押し込みます。


さあ、無事に靴が履けました。でも、慌てて歩き出さなくて大丈夫です。家の中を歩く時と、靴を履いた時とでは、かかとの高さが変わるため、バランスの取り方が全く異なります。


立ち上がったら、まずは玄関のその場で、ゆっくりと5回ほど足踏みをしてみましょう。


少し足元が馴染んできたら、今度は膝を少し高めに上げるように意識して、1歩につき1秒から2秒ほどかけるような、さらにゆっくりとした足踏みを行います。


この「歩き出しの足踏み」は、その日のご自身の重心がどこにあるのかを確認するための、大切な時間です。


人間の体は、病気の有無に関わらず、日によって調子が変わります。


特に脳卒中を経験されたお体は、その日ごとのわずかな調子の違いが、歩き方に大きく影響します。


だからこそ、歩き出す前のほんの少しの確認作業が、外での安全を守る大きなお守りになります。


玄関での見えない苦労には、このように心と体を軽くする解決の糸口が必ずあります。


今回お伝えしたコツは、病院のリハビリでもなかなか教わる機会が少ないかもしれません。


だからこそ、読者の皆様には早速今日からのお出かけで実践していただきたいと願っています。


もしパートナーの方がこの記事を読んでくださっているなら、ぜひこのお話をきっかけに、一緒に玄関での準備を試してみてください。


焦らず、ご自身のペースを守ることが一番大切です。


靴を履くという大きな壁を乗り越えたご自身を、どうかたくさん褒めてあげてください。


私たちはいつでも、あなたの絶対的な味方として、その見えない毎日の頑張りをすぐそばで心から応援しています。


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