
はじめに:脳卒中とは?
脳卒中とは、脳の血管が破れたり(脳出血)、詰まったり(脳梗塞)、または脳を包む膜の間で出血が起こる(くも膜下出血)ことで発生する疾患の総称です。
脳は人間の司令塔として働いており、ダメージを受けると、手足の運動障害、言語障害、認知機能の低下、食事の困難など、さまざまな障害が現れます。
「脳卒中」と一言でいっても、影響の出方は人それぞれです。
100人いれば100通りの症状があるとも言われるほど、多様な症状が現れます。
その中でも、今回は「痙縮(けいしゅく)」について詳しく解説し、日常生活への影響、対策、そしてリハビリの重要性について掘り下げていきます。
痙縮とは?
痙縮(けいしゅく)とは、脳卒中などの中枢神経の損傷によって引き起こされる筋肉の異常な緊張状態のことを指します。
勝手に突っ張ったり硬直したりする
自分の意思でスムーズに動かせない
発症後、数週間~数ヶ月の間に現れることが多い
時間の経過とともに悪化するケースもあるため、適切なケアが必須
痙縮は、脳からの指令が適切に伝わらず、筋肉の収縮をコントロールできなくなることで発生します。
特に、脳卒中後のリハビリでは、痙縮を放置すると悪化するため、早めに適切な管理をすることが重要です。
痙縮が引き起こす日常生活への影響
痙縮が進行すると、日常生活での動作が大きく制限されるようになります。
寝返りや起き上がりがスムーズにできない
立ち上がりや歩行時にバランスが崩れる
着替えがしにくくなる
食事の際に、箸やスプーンをうまく使えない

特に、麻痺側の手足がうまく使えないと、介助の負担が増え、ご本人の「できること」がどんどん減ってしまいます。
「今まではなんとか一人でできたことが、痙縮が進んで難しくなる」
こういったケースも多く、早めの対応が必要です。
痙縮の治療法
痙縮を和らげるための治療法には、大きく3つのアプローチがあります。
①リハビリテーション(運動療法・装具療法)
関節の動きを維持し、筋肉のこわばりを防ぐ
ストレッチ、可動域訓練、電気刺激療法(EMS)を活用
副作用がなく、日常生活での動きを増やせる
リハビリは、痙縮をコントロールしながら「動きを引き出す」ことが目的です。
②薬物療法(ボツリヌス療法・内服薬)
一時的に筋肉の緊張を和らげる
ボツリヌス注射は数ヶ月間効果が持続する
眠気や筋力低下などの副作用に注意が必要
一時的な改善には役立ちますが、薬だけに頼るのではなく、リハビリと組み合わせることが大切です。
③手術療法(選択的筋切除術等)
痙縮が重度で、他の治療が十分に効果を示さない場合に検討
長期間の改善が期待できるが、術後もリハビリが必要
手術は「最後の手段」ですが、適切なケースでは大きな改善を期待できることもあります。
装具の適切な使用・調整の重要性
装具を適切に活用すると、痙縮があっても安定した歩行や動作が可能になります。
しかし、装具を適切に使わないと、逆に動きにくくなったり、バランスが崩れたりすることもあります。
装具をつけることで、歩行が安定するケースがある
間違ったタイミングで外すと逆効果になることもある
装具の使い方や外す時期を熟練した理学療法士と相談することが重要
適切な装具管理をすることで、痙縮を「味方」に変えるリハビリも可能です。

脳卒中の自費リハビリの活用
保険のリハビリでは、週に2~3時間程度しか受けられないため、痙縮の管理や装具の調整には、より細かい専門的なアプローチが必要です。
【自費リハビリのメリット】
熟練した理学療法士が、個々の状況に応じた細かいアドバイスを提供
保険リハビリではカバーしきれない部分を補える
装具の適切な使用・卒業のタイミングも専門的にサポート
特に装具と痙縮を適切に管理できる理学療法士は少数派です。
そのため、自費リハビリを活用することで、より良いケアを受けながら、歩行や日常生活動作の改善を目指すことが可能になります。
まとめ
痙縮は脳卒中後に発生し、日常生活に大きな影響を与える
寝返り・起き上がり・歩行・着替え・食事が困難になることもある
治療にはリハビリ・薬物療法・手術療法がある
装具の適切な使用が、生活の質を向上させるカギとなる
自費リハビリは、熟練した理学療法士のサポートを受けながら、最適なリハビリを提供できる
脳卒中後の痙縮でお悩みの方は、ぜひ一度専門家に相談してみてください!
ご質問やお悩みがあれば、お気軽にご連絡ください!
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