はじめに

こんにちは。理学療法士として長く脳卒中のリハビリに関わってきました。今日は「脳卒中の予防と薬」についてお話しします。脳卒中はある日突然おそってくる怖い病気ですが、実は日々の暮らしの中でリスクを大きく減らせる病気でもあります。まだ経験していない方の予防にも、一度経験した方の再発予防にも役立つ内容にまとめました。肩の力を抜いて読んでみてください。

脳卒中には三つのタイプがあります

脳卒中は、脳の血管に起こるトラブルの総称です。大きく三つに分けられます。一つ目は脳梗塞で、血管が詰まって血の流れが止まり、脳の細胞がダメージを受けます。二つ目は脳出血で、血管が破れて脳の中に出血します。三つ目はくも膜下出血で、脳の表面の血管にできたこぶ(動脈瘤)が破れて起こります。日本では毎年およそ三十万人がこの病気を発症しています。どのタイプも、早く気づいて早く手当てすることが何より大切です。

見直したい四つのリスク

脳卒中は予防できる 〜はじめての方も、再発が心配な方も〜

脳卒中の背景には、生活習慣や持病が深く関わっています。特に気をつけたいのが次の四つです。高血圧は血管に強い圧力をかけ続け、血管をもろくします。脂質異常症は血管の内側に脂のかたまりを作り、通り道を狭くします。糖尿病は細い血管を少しずつ傷つけ、全身に影響を広げます。そして不整脈、とくに心房細動は、心臓の中で血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛んで血管を詰まらせます。どれも自覚症状が乏しいまま進むことが多いので、数字で知っておくことが予防の第一歩になります。

今日から始められる予防の工夫

むずかしく考える必要はありません。まずは体を動かす習慣です。少し汗ばむくらいのウォーキングを続けるだけでも、血圧や血糖値は安定していきます。次に食事です。塩分と脂を控えめにして、野菜やたんぱく質をバランスよくとりましょう。たばこは血管の老化を早めるのでやめる方向に、お酒はほどほどにしましょう。そして年に一度の健康診断です。高血圧や糖尿病は、見つかった時点で手を打てば十分にコントロールできます。気づけたことが、そのまま予防につながります。

薬とのつきあい方

脳卒中の予防では、薬が大きな支えになります。血圧を下げる薬、脂質を整える薬、血糖を管理する薬、血栓を防ぐ薬。どれも医師が体の状態を見ながら選んでいます。ここで一番お伝えしたいのは、自己判断でやめないでほしいということです。調子が良くなると「もう飲まなくていいかな」と思いがちですが、薬は飲み続けてこそ効果を保てます。飲み忘れが増えたり、副作用が気になったりしたときは、やめる前に必ず主治医に相談してください。

見逃さないでほしいサイン

脳卒中は予防できる 〜はじめての方も、再発が心配な方も〜

脳卒中の中で、唯一と言っていいほど前ぶれが分かるのが一過性脳虚血発作(TIA)です。片方の手足が急に動かしにくくなる、言葉が出てこない、片側が見えにくいといった症状が短い時間だけ現れて、多くは二十四時間以内に消えます。消えたからと安心してはいけません。TIAは大きな脳梗塞の前ぶれであることが多く、放置は危険です。おかしいなと感じたら、症状が治まってもその日のうちに受診してください。

すでに脳卒中を経験された方へ

ここまでは予防のお話でしたが、一度脳卒中を経験された方にとっては、再発を防ぐことが何より大切なテーマになります。再発予防の柱も、実は今日ご紹介した内容と同じです。血圧や血糖の管理、薬を続けること、そして体を動かすこと。リハビリを続けることは、動きを取り戻すためだけではなく、血の巡りを整え、生活習慣を守る力にもなります。無理のない範囲で、毎日少しずつ体を動かす習慣を持ち続けてください。ひとりで続けるのが不安なときは、私たちのような専門職を頼ってくださって大丈夫です。

まとめ

脳卒中は、突然に見えて実は少しずつ準備が進んでいく病気です。だからこそ、生活習慣を整え、数字を知り、薬を続けることで、発症も再発も大きく減らせます。あのとき、もう少し気をつけていればと後悔される方に、私は何人もお会いしてきました。この記事が、今日から何か一つ始めるきっかけになればうれしいです。そしてもし脳卒中になってしまっても、適切な治療とリハビリで暮らしを立て直すことは十分にできます。あきらめずにいきましょう。

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